都心の北部にちょっとひねりの効いたおもしろい小ホールがあったのをご存知だろうか。私どもの文京区の事務所から2分ほどJR水道橋駅方面に下がった所で、古い旅館の隣にひっそりとたたずんでいたバリオホール(VARIO Hall)が19年間の歴史を閉じ、塵芥に戻ったのである。このホールは仏IRCAMにならった残響可変装置や舞台/客席形状の可変機構をもつ、最大394席の実験的な小ホールであった。これは尚美学園の赤松憲樹理事長が1984年に設立したAVILAC Music Community Centerという施設の中心となるホールとして設置したもので、建築設計はΣ建築企画の磯城弘一氏、施工は清水建設であった。ここで、バリオホールの在りし日の姿をふり返ってみたい。